ブランドサイトとは、ひとつの商品やサービスが「なぜ選ばれるのか」を伝えるための専用サイトです。会社全体を紹介するコーポレートサイトとは目的が違います。
ブランドサイトを調べると、有名企業の事例や、制作会社の紹介がたくさん出てきます。ただ、社員が数人から数十人の会社にとって知りたいのは、その手前の話でしょう。「うちに要るのか」「コーポレートサイトの1ページでは足りないのか」。この記事では、そこを決めるための3つの基準と、作る前に決めておくことをまとめます。
1. ブランドサイトとは
ブランドサイトは、特定のブランド(商品・サービス・シリーズ)の世界観や価値を伝えるために作るWebサイトです。売ることだけが目的ではなく、「このブランドはこういうものだ」と覚えてもらい、選ぶ理由を理解してもらうことを受け持ちます。
たとえば、次のようなサイトです。
- 看板商品ひとつに絞り、開発の背景や素材、使う場面まで丁寧に見せるサイト
- 会社名とは別の名前で展開するサービスの専用サイト
- 商品を買う前に「どんなブランドか」を知ってもらうための入口
買う場所(ECサイト)や問い合わせ先は、ブランドサイトの中に置くことも、別のサイトへつなぐこともあります。
2. コーポレートサイト・ECサイト・LPとの違い
似たサイトと比べると、役割の違いがわかります。
| 種類 | 主な目的 | 見る人 | 載せる物 |
|---|---|---|---|
| ブランドサイト | 選ばれる理由を伝える | これから知る人、比べている人 | コンセプト、つくり手の考え、商品の見どころ |
| コーポレートサイト | 会社を知ってもらう・信頼してもらう | 取引先、求職者、お客さん | 会社概要、事業内容、採用、お知らせ |
| ECサイト | 商品を買ってもらう | 買うつもりの人 | 商品一覧、価格、カート、配送 |
| LP(ランディングページ) | 1つの行動(申込・購入)を促す | 広告などから来た人 | 1ページに絞った訴求と申込み |
ひとつのサイトで複数の役割を兼ねることもできます。ただ、複数の役割を兼ねる場合は、目的ごとの入口や導線が整理されていないと、必要な情報を探しにくくなります。ブランドサイトを別に作るかどうかは、この迷いを避けたいかどうかでも決まります。
3. 小さな会社に要るか? 3つの基準
ブランドサイトは、作れば必ず役に立つものではありません。次の3つを自分の会社に当てはめてみてください。
基準1:深く伝えたいブランドや商品群があるか
対象は商品1つに限りません。複数の商品でも、共通する価値や世界観があれば、ひとつのブランドとして伝えられます。会社全体の紹介だけでは、その特徴や選ぶ理由を十分に説明できないかを考えてみてください。
基準2:会社名とは別の名前で覚えてもらいたいか
お客さんが覚えるのは、会社名より商品名やブランド名であることが少なくありません。会社名では伝わりにくい世界観を持たせたい、新しい名前で展開したい、という場合は、ブランドサイトにすると言葉と見た目を揃えやすくなります。
基準3:競合と並べて比べられる場面があるか
お客さんが複数の会社を見比べて選ぶ商品・サービスでは、「何が違うのか」を会社の外から見えるように説明する場所が要ります。価格だけで選ばれたくないなら、考え方や作り方を伝える場所になります。紹介や指名が中心でも、依頼前の確認や理解を助ける場所として役立つ場合があります。既存ページで必要な説明ができているなら、独立サイトの優先度は下げられます。
3つとも当てはまらない場合
どれも当てはまらない場合は、まず既存サイトの商品・サービス紹介ページを整える方法を検討できます。ただし、この3つだけで不要とは判断できません。既存サイトで伝えきれない内容があるか、更新を続けられる体制があるかも確認しましょう。サイトを増やすと、更新や管理の手間も増えます。
1つか2つだけ当てはまる場合は、まず「ブランドの紹介ページ」を厚めに作り、反応を見てから独立させる、という進め方もあります。
ブランドを伝える場所は、既存サイト内の専用ページや複数ページの特設コーナーとして作ることもできます。別ドメインにするかどうかは、運用方法と合わせて検討します。
4. ブランドサイトに載せる物
最初から全部を揃えなくても構いません。まず必要な3つと、あとから足せる2つに分けます。
最初に必要な3つ
- コンセプト:このブランドは誰の、どんな困りごとに、どう応えるのか。2〜3行で言える形にします。
- ストーリー:なぜこのブランドが生まれたのか。開発の経緯、こだわった点、やめたこと。
- 商品・サービスの紹介:何ができるのか、どんな場面で使うのか。写真と具体的な説明。
あとから足せる2つ
- お客さんの声:使った人の感想や利用の場面。許可を得て、事実だけを載せます。
- つくり手の話:作っている人、現場の様子、素材や工程。読み物として積み上げられます。
見た目の演出を作り込む前に、上の3つが言葉になっているかを確かめてください。デザインが整っていても、伝えたい価値が整理されていないと、見た目の印象は残っても、選ぶ理由まで伝わらないことがあります。
5. 作る前に決める3つ
ブランドサイトづくりは、デザインより先に次の3つを決めると、迷いが減ります。
- 誰に伝えるのか:年齢や職業より「どんな状況で、何に困っている人か」。
- 何で選ばれたいのか:価格以外の理由を一言で。たとえば「国産素材だけを使う」「小ロットから作れる」。
- どこで知った人が来るのか:検索、SNS、取引先の紹介、チラシ、展示会など。来る場所によって、トップに置く言葉が変わります。
3つ目を決めずに作ると、よくある失敗につながります。世界観を作り込んだものの、見に来る人がいないサイトです。公開するだけで、必要な人に十分見てもらえるとは限りません。作る前に「どの入口から人が来るか」まで決めておくと、公開後に動かせます。
6. 費用と期間の目安
費用は、サイトの規模と作り込みで大きく変わります。制作費用は、目的と依頼する範囲で大きく変わります。制作会社の比較サービス「Web幹事」では、簡単な紹介を目的とする場合は10〜50万円、デザインにこだわる場合は100〜300万円、本格的なブランディング・集客を目指す場合は300万円以上を目安として紹介しています。これは同記事が示す目安であり、自社の必要予算は、ページ数や撮影・原稿制作などの依頼範囲を揃えて見積もる必要があります。
出典:Web幹事「ブランドサイトとは?おしゃれで参考にしたいデザイン事例15選と制作のポイントも紹介」(https://web-kanji.com/posts/brand-site 、2026年9月2日更新、2026年10月25日確認)
幅が大きくなる主な理由は次のとおりです。
- ページ数:1ページで見せるか、10ページ以上に広げるか
- 写真・動画:既存の写真を使うか、撮影するか。動画を入れるか
- 文章:コンセプトづくりから外注するか、自社で用意するか
- 動き・システム:アニメーションや、更新用の仕組みをどこまで入れるか
見積もりを取るときは、金額だけで比べず、含まれる作業(撮影・文章・更新の仕組み)を確認してください。制作費とは別に、サーバー・ドメイン、保守、更新、集客にかかる費用も確認します。税込・税別と、見積もりに含まれる作業範囲も忘れずに。
制作期間は、規模に加え、原稿・写真の準備状況や確認工程で変わります。公開希望日を伝え、素材準備と社内確認を含む日程を制作会社と確認してください。
7. 公開してからやること
公開した日がスタートです。見てもらう入口をつなぎます。
- SNSや名刺・パンフレットからサイトへ誘導する:QRコードやURLを入れる。
- ブランドの考え方を、サイトの外にも発信する:プレスリリースやブログで、ブランドの話を伝える。
- 検索で見つけてもらう入口を作る:ブランド名・商品名で探されたときに、きちんと出るようにする。
関連記事も参考にしてください。
- ブランディングとは何か(考え方の整理)
- SEOとは(検索で見つけてもらう入口)
- プレスリリースの書き方(発信の最初の一歩)
8. よくある質問
Q. ホームページ(コーポレートサイト)と何が違いますか。
A. 「ホームページ」はWebサイト全般を指して使われることもあります。ここでは会社全体を紹介するコーポレートサイトと比べます。ブランドサイトは、その中の特定の商品・サービスについて、選ばれる理由を深く伝える役目です。
Q. ECサイトと一緒にしていいですか。
A. できます。ブランドの世界観を伝える部分と、買う部分を同じサイトに置く例は多くあります。ただし、買う人にとっては買いやすさが優先なので、読み物が多すぎて購入までの道が見えにくくならないように注意してください。
Q. ブログは必要ですか。
A. 必須ではありません。つくり手の話や使い方など、更新を続けられる題材があるなら、育てる場所になります。続けられないなら、最初は置かないほうが「止まったサイト」に見えずに済みます。
まとめ
ブランドサイトは、「選ばれる理由」を伝えることを受け持つサイトです。小さな会社が作るかどうかは、
- 看板になる商品・サービスが1つあるか
- 会社名とは別の名前で覚えてもらいたいか
- 競合と比べられる場面があるか
の3つを手がかりに検討できます。当てはまる数だけで決めず、既存サイトで足りないことと、制作・運用に使える予算や人手を合わせて判断しましょう。
APOLLOSは、価値が届き、理解され、選ばれる状態をつくる会社です。ブランドサイトも、その流れのどこを受け持たせるかを決めてから作ります。作るかどうかの判断から相談したい場合は、お問い合わせください。