プレスリリースは「出せば載る」ものではありません。届け先は記者や編集者で、日々たくさんの案内が届きます。その中で読み進めてもらいやすいのは、「何の話か」「なぜ今か」が冒頭で分かる文面です。この記事では、基本の構成の一例と、読まれにくい書き方の直し方、架空の例文を説明します。
1. まず決める:誰に何を知らせるか
- 宛先は記者・編集者です。さらにその先の読者にとって、新しい事実として伝わるかを考えます。
- 新しい事実の例:新商品・新サービス、調査結果、提携、受賞、イベント開催、人事。
- 事実が薄いときは、先に素材を足します(自社で取った数字、お客さんの変化、地域との関わりなど)。宣伝文句は事実の代わりにはなりません。
2. 基本の構成(一例・7つの要素)
媒体や配信サービスによって形式は異なります。ここでは、多くの場面で使える基本の構成の一例を示します。
| 要素 | 書くこと | 目安 |
|---|---|---|
| ①タイトル | 何が新しいかを一文で。会社名より内容を先に | 読み上げて一息で言える長さ |
| ②リード | 誰が・何を・いつ・なぜ、を最初の段落で言い切る | 3〜4行 |
| ③本文 | 背景(なぜ今か)→内容→特徴の順。一段落に一つの内容 | 見出しで区切る |
| ④数字・根拠 | 価格・日程・規模・調査の出典 | 出典が言えない数字は書かない |
| ⑤写真・画像 | 商品・人物・図。掲載しやすい形で用意 | 大きさとファイル名を分かりやすく |
| ⑥会社概要 | 社名・所在地・事業・URL | 短く |
| ⑦問い合わせ先 | 部署・担当・電話・メール | 取材の窓口が一目で分かるように |
- 中心になるのは冒頭です。冒頭で要点が伝わらないと、読み進めてもらいにくくなります。
- 日付は2種類を分けて書きます。発信日(このリリースを出す日)と、実施日・提供開始日(サービスやイベントが始まる日)です。
- 読者が行動できる情報も添えます。サービスなら利用の方法、イベントなら場所・参加方法・申込先などです。
3. 読まれにくい書き方と直し方
| 読まれにくい書き方 | 困ること | 直し方 |
|---|---|---|
| 「業界初」「革新的」など根拠のない言葉 | 確認できず、記者が使いにくい | 何を誰と比べたのかを具体的に書く。比べた対象・調べた時点・方法を示し、裏付けが確認できなければ使わない |
| 自社の自慢だけが並ぶ | 読者にとって何のニュースか分からない | 「読者にとって何が変わるか」を先に書く |
| タイトルが会社名と長い肩書きで始まる | 内容が最後まで出てこない | 内容を先頭に、会社名は後ろに |
| 専門用語・社内の言葉 | 記者が調べ直す手間が生じる | 初出で一言の説明を付ける |
| 日程・価格・数字があいまい | 記事にしにくい | 日付・金額・数量を明記する。未定の事項は「未定」と書く |
| 問い合わせ先が代表番号だけ | 取材の担当者につながりにくい | 取材に対応できる担当者名と連絡先を載せる |
「業界初」「No.1」といった表現は、事実と違って受け取られるおそれがある場合、景品表示法(不当表示の規制)の対象になりえます。違法と決まっているわけではありませんが、使うなら根拠を示せる形にします。詳しくは消費者庁の表示規制の案内を確認してください。
4. 例文(架空・ひな形)
実在しない会社を想定した例です。
タイトル:世田谷区の小規模事業者向けに、月額3,000円の経理代行サービスを開始
発信日:2026年11月1日
リード:○○株式会社(東京都世田谷区)は、2026年12月1日から、従業員10人以下の事業者を対象にした経理代行サービスを開始します。請求書の整理や月次の入力を月額3,000円(税込)から依頼でき、背景には、小規模事業者で経理の担当者を置きにくい状況があります。
本文:背景(なぜ今か)→サービスの内容→特徴3点→提供開始日・価格・対象・申込方法
会社概要・問い合わせ先:社名、所在地、事業内容、URL、担当者名・電話・メール
ひな形の○や数字は、自社の事実に置き換えます。決まっていない項目は「未定」と明記します。あいまいなままにしないことが大切です。
5. 出したあとのこと
- 配信サービスに載せても、記事になるとは限りません。
- 配信サービスに載せるだけでは、自社の公式な発表にはなりません。自社サイトにも同じ内容を掲載しておくと、発表した記録が残り、問い合わせの入口にもなります。
- 記事になったら、掲載された事実を自社サイトにも載せ、次のリリースの素材にします。
広報とPRの考え方の違いは、広報とPRの違いは?小さな会社が最初の30分でやることで整理しています。
まとめ
リリースの前に確かめたいのは、「新しい事実があるか」です。タイトルとリードで内容を言い切り、数字には出典を付け、問い合わせ先を取材担当につながる形で書く。これだけでも、読み手の負担は大きく減ります。
※配信サービスの名称・料金・形式は変更されることがあります。利用前に各サービスの最新の案内を確認してください。