「うちの会社は、どれくらい知られているのだろう」。広告や広報を始める前にここを知らないと、効いたのかどうかも分かりません。認知度調査は調査会社に頼むと費用がかかりますが、自社でできる範囲もあります。この記事では、費用をかけずにできる方法と、そこで分かること・分からないことを分けて説明します。

1. まず決める:何を「認知」と呼ぶか

認知度は、名前を知っている人がどれくらいいるかを表す考え方です。測る相手(誰に)と、聞き方(何を見せて)で数字が変わるため、先に決めておきます。

  • 助成想起(再認):社名やサービス名などのヒントを見せて「知っていますか」と聞く方法。数字は高く出やすく、名前がどれだけ広く知られているかが分かります。
  • 非助成想起(純粋想起):ヒントを出さずに「このジャンルで思い浮かぶ会社は」と聞く方法。数字は低くなりますが、本当に思い出されているかが分かります。

両方を聞く調査では、ヒントなしの質問を先にします。先にヒントを見せると、その後の答えに影響するためです。

調査の前に決めておくのは2点です。①誰に知られたいか(顧客になりうる人)、②どのジャンルで思い出されたいか。ここが曖昧だと、出た数字を使えません。

2. 費用をかけずにできる4つの方法

方法 やり方 分かること 限界
①自社の既存接点へのアンケート 取引先・問い合わせ客に、Googleフォームで「どこで知ったか」を聞く 知られた経路 すでに知っている人しか答えない
②指名検索の数を見る Googleサーチコンソールで、自社名を含む検索での自社サイトの表示回数・クリック数を月ごとに追う 名前で探された量の増減 絶対的な認知度ではなく、変化を見るもの
③SNS・サイトの数字を見る フォロワー数ではなく、SNSの届いた人数(リーチ)と、サイトへのアクセス元を見る 届いた規模の参考 認知と関心が混ざる。サイトの「直接」流入には参照元が分からないアクセスも含まれ、認知の広がりをそのまま示すものではない
④知人・取引先にその場で聞く 10人ほどに「このジャンルで思い浮かぶ会社は」と聞く 非助成想起の手触り 人数が少なく偏る。数字として扱わない

ここで紹介した4つの方法だけでは、市場全体の何%に知られているかという認知率は推定できません。推定には、対象とする市場を代表するように回答者を集め、質問や回答数を適切に設計する必要があります。自社でできるのは、変化を見ることと、知られた経路を知ることです。全体の割合が必要なら、調査会社への依頼も選択肢です。その前に上の4つで「何を測りたいか」を絞ると、費用を小さくできます。

指名検索の見方(サーチコンソール)

サーチコンソールの「検索パフォーマンス」で、検索クエリに自社名が含まれるものを抽出します。表示されるのは自社サイトの表示回数・クリック数で、検索の総数ではありません。また、匿名化されたクエリは含まれません。フィルタで正規表現を使うと、社名の表記ゆれ(略称やひらがななど)を「|」でつないで1回で集められます。画面の名称や手順は変わることがあるため、最新の手順はGoogleの公式ヘルプで確認してください。

3. 自社アンケートの作り方(Googleフォーム・5問)

  1. この会社(サービス)をどこで知りましたか(複数選択:検索・SNS・紹介・広告・メディア・その他)
  2. 知ったのはいつ頃ですか
  3. 知る前、このジャンルで思い浮かべた会社はありましたか(自由記述)
  4. 選んだ決め手は何ですか
  5. 知人に紹介するとしたら、一言で何と説明しますか

5問目が肝心です。人が自社をどう言い表すかが、覚えられ方そのものだからです。なお、このアンケートの回答者は自社をすでに知っている人です。市場全体の認知度ではなく、知られた経路と覚えられ方を知るためのものと考えてください。

4. 結果の見方(やりすぎない)

  • 経路が1つに偏っていたら、その経路が命綱です。ほかの入口を1つ増やす検討をします。
  • 指名検索が月ごとに増えているなら、認知は積み上がっていると考えられます。止まっていたら、届ける量が足りない可能性があります。
  • 数字が小さくても落ち込まなくて大丈夫です。大事なのは、同じ測り方で3か月続けて、上がったか下がったかを見ることです。

まとめ

自社でできる認知度調査は、全体の割合ではなく「変化」と「経路」を見るものです。測り方を決めて続けることが、費用をかけない第一歩です。測ったあとの動き方は、認知度向上の施策を選ぶ順番と認知度を上げる方法にまとめています。

知られていないのは、能力ではなく認知の問題であることが多いものです。測らないまま広告を足しても、効いたかどうかが分かりません。まず小さく測るところから始めたい方は、お問い合わせからご相談ください。