創業10周年が近づいてきた。何かやった方がいい気はするが、式典を開く余裕もなければ、何をすれば会社のためになるのかも分からない。周年の節目を前に、そう感じている経営者や担当者は少なくありません。

結論から言うと、周年事業は大きなイベントを開かなくても成り立ちます。大切なのは、「誰に、何を届けるか」を先に決めること。小さな会社なら、ロゴ・会社案内・サイトの見直しなど、周年後も使い続けられる制作物に力を入れる方が、認知につながりやすいはずです。

この記事では、周年事業の意味と目的、進め方、施策の選び方、予算の考え方、よくある質問をまとめます。

周年事業とは

周年事業とは、会社の創業や設立から一定の年数を迎えた節目に行う記念の取り組みの総称です。10周年、20周年、50周年のように、5年・10年単位で行う会社が多く、記念式典や記念品の配布、社史の制作、サイトのリニューアルなどが含まれます。

数え方は「創業」からか「設立(法人化)」からか、会社によって異なります。どちらを起点にしても構いませんが、社内で決めておかないと、案内状やサイトの表記がずれてしまいます。税務や会計の扱いは会社ごとに違うため、迷う場合は税理士に確認してください。

周年事業の目的は、社内向けと社外向けで分かれる

周年事業は、誰に向けるかで目的が変わります。

向ける相手 主な目的 例
社内(社員・家族) 感謝を伝える、一体感をつくる、これからの方針を共有する 社内表彰、記念の集まり、理念の見直し
社外(取引先・お客さん) 感謝を伝える、会社の今を知ってもらう、関係を深める 感謝状・お礼の連絡、記念ページ、会社案内の刷新
社外(まだ出会っていない人) 会社を知ってもらう、選ばれる理由を見える形にする サイトのリニューアル、ロゴの見直し、記念企画の発信

ここで多くの会社がつまずくのは、目的を決めずに施策から考え始めることです。「記念品を作る」「パーティーを開く」が先に立つと、終わったあとに何も残りません。最初に「この周年で、誰にどう思ってもらいたいか」を一文で書き出しておきましょう。

進め方は4段階

周年事業は、次の4段階で進めると迷いにくくなります。

1. 目的を決める

前の章の表を使い、向ける相手と届けたいことを一文にします。例:「長く付き合ってくれた取引先に感謝を伝え、これからの方針を知ってもらう」。複数の相手に向けたい場合も、一番届けたい相手を1つ決めてから広げます。

2. 体制を決める

小さな会社では、専任のチームを置くのは現実的ではありません。担当者を1人決め、決裁する人(社長)と週に一度は短く確認する形が回しやすいでしょう。制作物は外部の制作会社に頼むことも多いため、依頼先との窓口も1人にまとめます。

3. 施策を選ぶ

目的に合う施策を、次の章の考え方で選びます。数を増やすよりも、目的に一番効く2〜3つに絞るのが基本です。

4. 実施して、振り返る

実施後は、「目的は達成できたか」を確認します。取引先からの反応、問い合わせの数、サイトの閲覧数など、見る数字を最初に決めておくと振り返りやすくなります。

準備期間は施策の内容で大きく変わります。式典や記念誌のように外部との調整が多いものは、半年から1年ほど前から動くのが安全です。サイトや会社案内の制作も、デザインと原稿の確認を含めると数か月かかるため、節目の日から逆算して早めに依頼先を決めておくと慌てずに済みます。

施策の選び方

社内向けの施策

  • 社員への感謝を伝える集まりや表彰
  • 理念やこれからの方針を言葉にし直す
  • 創業からの歩みを社内で共有する(年表づくり)

費用をかけなくてもできるものが多く、理念の言葉を見直す作業は、社外向けの制作物の土台にもなります。社内への広げ方はインナーブランディングとはで手順をまとめています。

社外向けの施策

  • 取引先・お客さんへの感謝の連絡(手紙・メール)
  • 記念の企画(特別なサービスやキャンペーン)
  • 記念品・ノベルティ
  • 記念式典やパーティー

つながりを深める効果は大きい反面、終わると何も残らないのが弱点です。記念品も、使われずに引き出しにしまわれてしまうことが少なくありません。

認知につながる制作物

小さな会社が、周年を「会社を知ってもらう機会」にするなら、形に残る制作物を優先する考え方があります。

制作物 周年での役目 周年後も使えるか
ロゴ・ブランドの見直し 会社の今の姿を、見た目で伝え直す 使える(名刺・サイト・看板に展開)
会社案内 創業からの歩みと今の強みをまとめる 使える(営業・採用で配布)
サイト・記念ページ 周年を機に会社の情報を整理して発信する 使える(検索からの流入にもなる)
ブランドストーリー 創業の背景とこれからを一ページで伝える 使える(サイト・案内・採用で転用)

周年の記念ページを作る場合は、周年の挨拶だけで終わらせず、事業内容・実績・お客さんの声などもあわせて整理しておくと、周年後も会社の入口として働き続けます。作る・作らないの判断はブランドサイトとはも参考にしてください。

小さな会社の予算の考え方と、やらない方がいいこと

周年事業の費用は、施策によって大きく変わります。式典を開く場合は会場や飲食、記念誌は編集や印刷、サイトは制作費というように、項目ごとに見積もりが必要で、一律の相場は出しにくいのが実情です。

そこで、次の順で考えると決めやすくなります。

  1. 会社として使える総額の上限を先に決める
  2. 目的に一番効く施策から割り当てる
  3. 複数の制作会社から見積もりを取り、含まれる作業の範囲を揃えて比べる(金額だけで比べない)

やらない方がいい例を挙げます。

  • 目的がないまま記念品を大量に作る(配り先が決まらず余る)
  • 社内の人手が足りないのに大きな式典を企画する(通常業務に響く)
  • 周年のためだけの一過性の企画に予算を使い切る(終わったあとに残らない)
  • 起点の年や表記が社内でそろっていない(案内物ごとに違ってしまう)

よくある質問

いつから準備を始めればよいですか。

施策によって異なりますが、式典や記念誌は半年〜1年前、サイトや会社案内の制作は数か月前から動き出すと余裕があります。まず目的と予算の上限だけでも、早めに決めておくと後がスムーズです。

社内だけで行っても意味はありますか。

あります。社員への感謝と方針の共有は、それだけで周年の価値があります。外に発信したい場合は、社内で言葉を整えたあとに制作物へ展開すると無駄がありません。

記念品は必ず必要ですか。

必須ではありません。感謝を伝える手段は、手紙や連絡でも十分です。記念品を作る場合は、配る相手と使われる場面を先に決めてから数量を決めましょう。

5周年や10周年でも行うべきですか。

節目の年数に決まりはありません。会社の状況に合わせて、小さく始めても構いません。サイトの見直しや理念の言い直しなど、規模が小さくても意味のある施策はあります。

まとめ

  • 周年事業は、誰に何を届けるかを先に決めることから始まる
  • 小さな会社は、周年後も使える制作物(ロゴ・会社案内・サイト・ブランドストーリー)を軸にすると認知につながりやすい
  • 予算は上限を先に決め、見積もりは作業範囲を揃えて比べる

周年の節目は、会社の言葉と見た目を整え直す好機です。制作物の見直しや依頼先の相談は、APOLLOSでも承っています。